【新唐人2015年05月18日】これまで２回にわたって、重慶市の税務局の元幹部、江錫清（こう しゃくせい）さんが労働教養所に入れられ、家族と面会した翌日に死亡した事件をお伝えしてきました。葬儀場を訪れた家族は、遺体保冷庫に入れられた江錫清さんがまだ生きていることを確信し、人工呼吸を行ったところ、警官に引きずり出されました。続いて家族は司法解剖を求めましたが、果たして真相は明かされるのでしょうか？
江錫清さんの娘、江宏（こう こう）さんが司法解剖を求めたところ、重慶市検察院は許可しましたが、司法解剖は当局が指定する機関で行うと主張しました。これでは公正な司法解剖ができないと家族は案じました。
江錫清さんの長女 江宏さん
「検察院駐監処・処長の黄健は父の死について、検察院も疑問を持っているので、司法解剖に同意すると言いました。しかし司法解剖を行う機関は検察院が手配すると主張しました。私たちは当局を信じておらず、不正を行うと思ったので、自分たちが指定すると言いました。すると検察院に脅されました。『承諾しないなら司法解剖はしない』と、私たちは承諾しませんでしたが、彼らは解剖を強行し火葬しました」
２か月後、ついに江宏さんは司法解剖の報告書を目にしました。奇妙なのは、死因が「心臓病の急性発作」とあるのに、解剖診断には、左側の肋骨３本が骨折、肋間（ろっかん）に出血、急性の肺うっ血、水腫（すいしゅ）などと書かれていたことです。
中国で25年間、医者として医療に従事し、ハーバード大学医学大学院の学者でもある、汪志遠（おう しえん）さんが、この報告書を分析しました。
ハーバード大学医学大学院の学者 汪志遠さん
「報告書を見れば、拷問や外傷による損傷があったのは明らかです。例えば、骨折や組織のうっ血、臓器のうっ血など、死ぬ前の外傷で暴力を受けたことが分かります」
江宏さんが報告書を手に重慶市検察部門を訪れ、なぜ父親は肋骨を何本も骨折しているのかと尋ねたところ、相手は「救命治療をしていた時、うっかり折ってしまった」と弁解しました。これには江宏さんも怒りが隠せませんでした。
そして江宏さんたちが再三、問いただしたところ、重慶市検察院のある官僚は、うっかり驚くべき事実をもらしました。
重慶市検察院第一分院監所処 周柏林・副処長
「西山坪労働教養所の警察が江錫清を虐待した証拠はない。同室の者が虐待した証拠も発見されていない。もう遺体は火葬された。保存されているのは彼の臓器だけだ。標本として保存してある」
この時江宏さんはようやく、父親が激しい暴力で瀕死状態に陥ったあと、生きたまま遺体保冷庫に入れられ、さらに内臓を取り出されて標本にされ、遺体は証拠隠滅のために、火葬されたことを知りました。
非業の死を遂げた父親の無念を晴らすため、江宏さんは西山坪（せいざんへい）労働教養所を訴え、真相を突き止めようとしました。しかし、当局は江宏さんたちに対し、監視、脅迫、利益による誘惑、拉致などの手段で訴えを取り下げさせようとした揚げ句、弁護士にまで手を下しました。
この事件の弁護を担当した張凱（ちょう がい）弁護士と李春富（り しゅんふ）弁護士は、警察の脅迫に屈しなかったために、2009年、警察に拉致され、違法に拘禁されていた間に、拷問を受けました。張凱弁護士は、手錠をかけられ鉄かごの中に一晩つるされたあと、一度は恐怖症にかかり、李春富弁護士は両耳を負傷し、弁護士資格をはく奪されました。
李春富弁護士
「我々は弁護士として、多くの庶民が見ている中で、警察に手錠をかけられました。我々の手続きや証明書は合法でしたが、派出所に連れていかれ、暴力を振るわれ監禁されました。普通の庶民ならもっと容赦ありません」
人権派弁護士 蘭志學さん
「全国の弁護士がこの件を知り、注目しています。当局の違法行為を非難し糾弾しています」
江宏さんと家族は何度も拉致されたあと、ようやく当局は納得の行く説明をするどころか、逆に家族全員を死に追いやるつもりだと気づき、仕方なく、江宏さんと母親は故郷を離れました。
今回、江宏さんは父親の悲劇をカメラの前で明らかにしました。数年前、真相を伝え始めた時は、誰もが驚き、信じてくれませんでしたが、徐々に、理解と同情、さらに応援を得られるようになりました。その大きな変化を前に、江宏さんはついに憎しみを捨てることができたといいます。これから歩む道は険しくても、徐々に光が差し込み始めていると感じているそうです。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2015/05/15/a1197345.html（中国語）
（翻訳/河合 ナレーター/村上 映像編集/李）
